『ゾンビ(原題:Dawn of The Dead)』は今更言うまでも無く、米国産ホラー映画の超名作である。
超名作の割には、ソフト化については不遇な作品である。
(もっとも、『エルム街の悪夢』シリーズなんかも『フレディvsジェイソン』が無ければDVD化は相当遅れたと思われるが。日本ではホラー映画自体が不遇なジャンルなのかもしれない)
それがこの度、低価格で、しかもなかなか観る事が難しかったバージョンまで含めてのリリースが行われるという。
合わせて、シリーズ1作目『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(原題同じ)』、3作目『死霊のえじき(原題:Day of The Dead)』もリリースされる。
※『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』については、権利切れということで、\500円DVDでも購入できる
こりゃスゲえ! 今まで一本も『ゾンビ』のソフトには手を出してなかったが、ゾンビ祭りの開始じゃ! 片っ端から購入してやるぜ!!
……と狂喜乱舞してウィッシュリストにほいほい追加していたのも束の間、妙な事に気がついた。ゾンビマニアの方々の反応があんまり芳しくないのだ。
曰く、
「発売元会社のやる気の無さ」
「音声はモノラル」
「2007年現在のリマスター技術で発色が良くなったりはしない」
「既に出てる物の廉価版発売とかってファンには意味ないですね」
「この会社は『ゾンビ』に対する敬愛の念・こだわりは持ち合わせておらず、2007年の技術でリマスターするという手間と時間がかかる作業を行わず、ただ値段だけ下げるという最も安易な道を選びました」
「今のご時勢に非リマスターのスタンダードサイズはないでしょう…」
「レンタルビデオ並みの画質」
「今まで権利を所持していたの?何でもっと早く再発しなかった?」
「かなり手抜きソフト」
「音と画質は悪いらしく映像特典もない」
「画質は、VHS並みで今のDVDの仕様としてはお粗末な仕様です」
「1999年発売当時の仕様のまま再発売されるので、音声はモノラルだし、画質もディレクターカット版は1999年当時のリマスター技術による画質のままで、ダリオ・アルジェント監修版に至ってはリマスターすらされていない」
「値段は多少高くなってもブルーレイ化するなり、2007年におけるリマスター技術で画質を向上させるなりして発売して欲しかった」
「廉価版の発売は手放しで喜べません」
「手抜きの廉価発売なんだから1000円でいいんじゃない?」
(あえて手厳しい意見のみ抜粋させて頂きました)
この酷評の背景には、アメリカでの『ゾンビ(Dawn of the Dead)』の扱い方との大きい違いがあります。
Amazon.comでは『Dawn of the Dead (Ultimate Edition)』を販売しています。
2004年発売の、このDVD-BOXは、『ゾンビ』の上記3バージョン+ドキュメンタリーのDVDが1枚の構成。
映像にはリマスター処理を施してあり、音声は
- 米国公開版…DTS5.1, Dolby5.1, Dolby2.0, Original Mono
- ディレクターズ・カット…Original Mono
- ダリオ・アルジェント監修版…Dolby5.1, Dolby2.0, Original Mono
さらに、すべてのバージョンにオーディオ・コメンタリが入っています。
本編に字幕が付いていないのが唯一の欠点と言えます(日本語字幕までは高望みしないが、英語字幕は入っていて欲しかった)。
さらに、『Blu-ray版 Dawn of the Dead』『Blu-ray版 Day of the Dead』がリリースされています。
『Dawn of the Dead (Ultimate Edition)』は$24.99で、日本円で約\2,761。
Blu-ray版(恐らく「米国公開版」)は$19.95で、日本円で約\2,202。
日本の『ゾンビ』3バージョン廉価版は全部買うと\5,081。
これで画質・音質の問題もあるのだから、日本のゾンビマニアの怒りを買うのは当然でしょう。
俺は、Amazon.comから個人輸入で Ultimate Edition を購入しました。
送料や関税もかかってしまいましたが、そんなのは問題ではありません。文化遺産に匹敵する映像作品を中途半端な形で手に入れては、失礼に当たります。
…ま、ストーリーが極めてシンプルでエイゴ分からなくてもなんとかなる映画だからってのもありますが。
すべての映画が、最高の形で手に入れられる日を心から願っています。金はかかるけどねw